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  • 執筆者の写真東京弓弦楽団

定演で何するの?其の弐

更新日:2022年11月5日

お待たせしました!!羊子さんによるコラム

羊子の・・・定演で何するの?其の弐


12月18日の「第4回定期演奏会」を

より楽しんでいただくために・・・必読!です😊


 

東京弓弦楽団12月の定演で武侠作品のテーマ曲を扱うことになった。どの曲も中国で演奏したら、皆さん大喜びの曲ばかり。でも日本人にはちょっとなじみがない。そこで少しでも世界観を理解しようとしていたら、にわかに武侠ドラマおたくになってしまった。

中国のドラマは鬼長い。ようやく見終わったところで、個性豊かな登場人物や展開が気になって調べてみると、これらのドラマは今まで何回もリメイクされていて、そのたびに描かれ方が変わっていることがわかり、原文が読みたくなった。(いや、二胡の練習しよう)

特に気になったのは金庸の小説『笑傲江湖』での劉正風の簫と、曲洋の古琴の合奏シーンだ。この段はとても有名で、ここだけ切り取った動画が沢山みつかる。

中国の所謂ファンタジー時代劇には楽器がよく出てくる。人を惑わす音色を奏でることもあれば、刃物や矢がしこまれていて武器になることもある。もちろん君子のたしなみとして普通に演奏されることもある。よく、といっても剣侠、武侠や宮廷人に抱えられているのは古琴と簫(たてぶえ)、笛子がほとんどで、たまに琵琶。楽器は登場人物の関係性も示す。大ヒットドラマ『陳情令』も『甄嬛伝』もそうだった。それに比べ二胡は、唐代に起源があるというから、それ以降の時代設定、宋・元・明なら、たまに出て来てもよさそうなのに。清朝末の実在の武術家、黄飛鴻の活躍を描いた映画『ワンスアポンアタイム・インチャイナ」で庶民の盛り場で盲目の流しが二胡の弾き語りをしていて、うるさいと追い出されるシーンくらいしか記憶にない。(いや、めげずに二胡の練習をしよう)

話を劉正風と曲洋に戻そう。月明りの岩山で古琴と簫を演奏する二人。そこに主人公の令狐衝が通りかかるというシーンだ。実はこの二人は長年対立する武道の門派にそれぞれ属するが、音楽を通じて友情をはぐくんだ。ゆえに咎められ裏切者として命を狙われ逃げている。凡人の私は「えっ見つかっちゃうよ」と焦るが、二人は楽器を手に悠然とそれぞれ異なる岩の上に座り、互いに礼を交わし、演奏を始める。この曲は長年二人で練りに練って作り上げてきた曲だ。演奏が終わると、

「我らは今宵、力の限り心行くまで演奏できた。世にこの曲があり、ともに奏でた。わが人生に何の心残りがあろうか。」(劉正風)

「ともに全身全霊で磨き上げた、後にも先にもない、まさに奇跡の曲。あの世に行っても思い出すであろう。」 (曲洋)

そしてその楽譜を主人公に託すのだ。これから千年も万年も月は岩山を照らすだろう。二人の姿はもうない。……

もう言葉ない。 (ため息……やっぱり 二胡練習しよう。)

この曲こそが「秘曲 笑傲江湖 」なのだが、秘曲はあくまで秘曲であって、金庸がこの音楽描写に400字もかけているものを再現するのは難しいのであろう。映画・ドラマでも一部を再現するのみである。定演で演奏するのは1990年映画版「笑傲江湖」のテーマ曲『滄海一声笑』。香港の最優秀映画音楽賞もとったこの曲はその後のリメイク版でも使われているほか、新中国70年映画音楽ベスト10にもノミネートされている。正直何故そんなに人気があるのかわからなかったのだが、映画の人気と小説の世界観を受けた歌詞とともに絶賛されているようだ。定演では歌詞の一部をナレーションでお届けできたらと思う。お楽しみに!!

(こんどこそ、ホントに二胡練習しよっと)




其の一はこちら



 

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